1 建設業を営業するには、建設業許可の取得が必要
うちは元請けとして工事を請けることもないし、家内と二人で営んでいる小さな工務店だ。 ましてや、役所から無許可営業だなんて言われたこともないし、建設業許可なんて必要ないんじゃないの?
この前、長年付き合いのある元請けから、「これからは建設業許可がないと取引できない」なんて言われたけど、本当に必要なの?
個人事業主としてひとりで営んできたけど、これからは人も雇いたいし、大きな工事も請け負いたい。 また、安定した仕事のために公共事業だって取っていきたい。 それには、建設業許可が必要だって聞いたけど、どうしたらいいのか分からない。
そんな悩みごとの声が聞こえてきそうですね。
はじめまして。 長野で行政書士開業準備中の仙田と申します。
令和元年度、行政書士試験に合格し、令和4年開業に向けて準備中です。
こちらのブログでは、建設業に携わる多くの皆様に向け、建設業許可を中心とした情報、基礎知識、ノウハウなどをお届けできれば、うれしく思います。
そもそも、建設業許可は必要でしょうか? はい、建設工事の完成を請け負う建設業者は、元請けであるか下請けであるか、または、法人であるか個人であるかに関係なく、すべての業者が許可を取得する必要があるんです。
ただし、例外として「軽微な工事」のみを請け負っている業者であれば、必ずしも建設業許可を受ける必要はありません。 もちろん、受けることもできます。
注意しなければならないのは、「例外」ということと、「軽微な工事のみ」というところです。
「例外」ですので、原則は許可が必要です! 公共工事を受注するには許可を受けていることが大前提ですし、業界や世の中の流れは許可取得が主流になってきています。
「軽微な工事のみ」ということは、一回でも軽微な工事を超える工事は請け負えませんし、請け負ってしまえば建設業法違反です。 悪質なケースでは刑事罰を課されることもありえるのです。
皆さんのところは、未来永劫、絶対に軽微な工事を超える工事を請け負わない、といえるのでしょうか? 許可を取っていないということだけで仕事を回してもらえない、ということはあり得ないのでしょうか?
もし、それらの可能性があるのなら、今のうちに建設業許可を取っておくべきだと思います!
「軽微な工事」とは、
建築一式工事の場合 | ・工事一件の請負代金が1,500万円未満の工事 ・木造住宅で請負代金に関わらず延床面積が150㎡未満の工事 |
建築一式工事以外の場合 | 工事一件の請負代金が500万円未満の工事 |
2 建設業の種類
建設業の業種を、建設工事の種類ごとに合計29業種に区分し、その業種ごとに許可が必要です。
許可を受けようとする場合は、これら29業種のうちから必要な業種を選び、許可要件を準備して申請します。
3 許可の区分
(1)大臣許可と知事許可
営業所の所在地により、大臣許可と知事許可に区分されています。
この区分は、営業所の所在地のみにより区分されているため、営業する地域または建設工事をする地域について制限されることありません。 例えば、長野県知事許可の建設業者が、東京都で建設工事を施工することはできます。
大臣許可 | 二つ以上の都道府県の区域内に営業所を設置し、建設業を営む (例 : 本店を長野県、支店を東京都などにするケースです) |
知事許可 | 一つの都道府県の区域内にのみ営業所(複数を含む)を設置し、建設業を営む |
(2)一般建設業許可と特定建設業許可
その許可を受けようとする業種ごとそれぞれに、一般建設業か特定建設業かのいずれかの許可に区分されます。
一般建設業 | 建設工事の最初の注文者から直接請け負った1件の建設工事について、下請け代金の総額が4,000万円以上(建築一式工事については6,000万円以上)となる下請契約を締結して下請負人に施工させることはできません。 |
特定建設業 | 制限はありません。 ただし、下請け人保護のための義務が課されています。 |
- 同一業種について、一般建設業と特定建設業の両方の許可を受けることはできません。
- 異なる業種について、ある業種は特定建設業、他の業種は一般建設業、という許可を受けることはできます。
- 1件の元請工事の請負金額については、一般建設業者であっても特定建設業者であっても制限はありません。
- 一般建設業者であっても、下請け施工させない場合、または、下請施工させる場合でも下請け代金の総額が4,000万円未満(建築工事業は6,000万円未満)の工事は、請負金額に制限はありません。